ルート検索ユーティリティ サービス

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組織でネットワーク解析ツールを有効にするには、ルート検索ユーティリティ サービスを構成する必要があります。 すべてのサービスを構成する必要はありませんが、すぐに使用できるクライアント アプリケーションの一部には、サービスの構成が必要な機能が搭載されていることがあります。

最寄り施設の検出

事故現場から最も近い病院の検索、事件現場から最も近いパトロール カーの検索、顧客の住所から最も近い店舗の検索は、最寄り施設の検出サービスを使用して解析する問題の例です。 最寄り施設を検出するとき、検索件数と、移動方向を施設に向かう方向にするか、施設からの方向にするかを指定できます。 最寄り施設が見つかると、その施設への、またはその施設からの最適なルートと、各施設への移動時間、移動距離、ルート案内を表示することができます。 このサービスは、最適ルートの判定に現在の交通状況を使用できます。 また、カットオフ コストをインピーダンスとして指定し、その値を超える施設をサービスが検索しないようにすることもできます。 たとえば、事故現場から車で 15 分以内に到着できる病院を検索するように、最寄り施設の検出サービスを設定できます。 運転時間が 15 分を超えてしまう病院は、結果に含まれません。 病院は「施設」と呼ばれ、事故は「インシデント」と呼ばれます。 このサービスでは、複数の最寄り施設解析を並行して実行できます。 つまり、複数のインシデントについて、各インシデントの最寄り施設 (複数の場合もあります) が検索されます。

最寄り施設の検出サービスがサポートするダイレクト リクエストジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

車両の経路指定

さまざまな組織が保有車両を使用して訪問先にサービスを提供しています。 たとえば、大型の家具店では何台かのトラックを利用して顧客の自宅まで家具を配達しています。 油を再利用する専門の会社では、レストランから使用済みの油を引き取るために、施設からトラックを一定の経路で走らせています。 保健所では、各健康診査官の毎日の検査訪問をスケジュールしています。 これらの例に共通する問題は車両の経路指定です。 各組織は、どの訪問先 (住宅、レストラン、または検査現場) に各ルート (トラックまたは検査官) でサービスを提供するのか、訪問先をどのような順序で訪れるのかを決定する必要があります。 この主な目的は、訪問先に最善のサービスを提供し、保有車両の全体の運用コストを最小にすることにあります。 車両の経路指定サービスを使用すると、これらの複雑な車両管理タスクに対するソリューションを決定できます。 さらに、このサービスは、多数のオプション (車両の積載制限と注文数量の一致を図る、注文のタイム ウィンドウを遵守して高レベルな顧客サービスを提供する、運転手に休憩をとらせる、複数の訪問先を同じルートに関係付けるなど) を利用できるので、より具体的な問題を解決することができます。

中央の倉庫から食品雑貨店に商品を配達する例を考えてみましょう。 倉庫では全部で 3 台のトラックを使用できます。 倉庫は、特定の時間帯 (午前 8 時から午後 5 時) でのみ運用されます。その時間内に、すべてのトラックは倉庫に戻る必要があります。 各トラックの積載制限は 15,000 ポンドであり、搬送できる商品の量には制限があります。 各食品雑貨店からは、配達を必要とする商品の需要が特定量 (ポンド単位) あります。また、各食品雑貨店は、配達の時間を制限する時間帯を設定しています。 さらに、運転者の労働時間は、1 日あたり 8 時間に制限されています。運転者には昼休みが必要で、運転および食品雑貨店へのサービス提供に費やした時間に対して賃金が支払われます。 このサービスを使用して、配達を行うにあたりすべての車両と注文の要件を満たし運転者が特定のルートで費やす合計時間を最小にすることができるように、各ルートごとに配送プランを決定できます。

車両の経路指定サービスがサポートするダイレクト リクエストジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

ロケーション-アロケーション

ロケーション-アロケーションによって、需要地点との間で考えられるやり取りに基づいて、複数の候補地の中から運用施設を選択することができます。 これは次のような質問に答えるために役立ちます。

  • 一連の消防署がすでに存在している中で、新しい消防署をどこに配置するとコミュニティに対する最適な応答時間を確保できるか。
  • 小売業者が規模を縮小する場合、全体の需要を最大限に維持するにはどの店を閉じたらよいのか。
  • 配送センターまでの距離を最短にするには、工場をどこに建設したらよいのか。
これらの例では、施設は消防署、小売店、工場を表し、需要地点は建物、顧客、配送センターを表すことになります。

目的としては、需要地点と施設の間の全体距離を最短にしたり、施設からの一定の距離内でカバーされる需要地点の数を最大にしたり、施設から距離が離れることで衰退する需要の割り当て量を最大化したり、友好施設や競合施設の環境において捕捉される需要量を最大化することなどが考えられます。

ロケーション-アロケーション サーバーがサポートするジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

ルート サービス

ルート サービスを使用すると、ある場所から別の場所への最適なルート、または複数の場所を訪れる場合の最適なルートを検索できます。 最適ルートとは、1 日の所定の時刻における交通状況を考慮した上での最速ルートや、移動距離が最小になる最短ルートのことです。 また、ルート サービスを使用して、指定した許容時間中に各ストップを移動する最適ルートを検索することもできます。 訪問するストップが複数ある場合、指定した場所の順序を固定して最適ルートを決定することができます。 これは、単純なルートと呼ばれます。 また、場所を移動する最適な順序を決定することもできます (巡回セールスマン問題)。 これは、最適化されたルートと呼ばれます。

ルート サービスがサポートするダイレクト リクエストジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

到達圏

到達圏サービスを使用すると、入力位置から所定の移動時間または移動距離内に到達できるエリアを検出できます。 到達圏とは、施設と呼ばれる 1 つ以上の位置から特定の距離または移動時間の範囲内にあるアクセス可能なすべての道路が含まれたエリアです。 一般的に、到達圏は施設へのアクセシビリティの視覚化と評価に使用されます。 たとえば、食料品店から 3 分の走行時間のポリゴンは、3 分以内にその店に到達可能な居住者、つまりその店で買い物をする可能性の高い居住者を特定できます。 また、このサービスは、1 つまたは複数の施設の周囲に複数の到達圏を同心円状に作成して、移動時間または移動距離の増加に応じたアクセシビリティの変化を示すこともできます。 これは、たとえば学校から車で 5 分、10 分、15 分以内にいくつの病院が存在するかを判定する場合に使用できます。 移動時間に基づいて到達圏を作成する場合、交通量データを使用できるため、1 日のさまざまな時間帯における到達可能なエリアを作成できます。

到達圏サービスがサポートするダイレクト リクエストジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

移動コスト マトリックス サービス

移動コスト マトリックス サービスを使用して、複数の起点から複数の終点までの OD (起点-終点) コスト マトリックスを作成します。 移動コスト マトリックスは、各起点から各終点への移動時間や移動距離などのコストを含むテーブルです。 また、各起点から各終点への移動に要する最小のコストに基づいて、その起点に対する各終点を昇順にランク付けします。 移動コスト マトリックスの生成時には、各起点に対して見つける終点の最大数と、終点の検索時に移動する時間または距離の最大値を指定することができます。

移動コスト マトリックス サービスからの結果は、多くの場合、他の空間解析の入力になります。このときは、直線コストよりも道路ネットワークを移動するコストの方が適切です。 たとえば、都市における人々の動きの予測は、道路ネットワークに基づくコストを使用した方が適切にモデリングできます。人々が道路や歩行路を移動する傾向があるためです。

ヒント:

最寄り施設の検出と移動コスト マトリックス サービスでは、同様の解析が行われます。主な違いは、出力と計算速度です。 移動コスト マトリックス サービスは短時間で結果を生成しますが、道路やルート案内に沿ったラインを返すことができません。 大規模な M x N 問題をすばやく解決するように設計されているため、ルートの形状やルート案内を生成するために必要な情報を内部に保持しません。 また、最寄り施設のサービスは道路やルート案内に沿ったルートを返すことができますが、移動コスト マトリックス サービスよりも低速です。 ルート案内やルートの正確な形状が必要な場合は最寄り施設のサービスを使用し、それ以外の場合は移動コスト マトリックス サービスを使用して計算時間を短縮します。

移動コスト マトリックス サービスがサポートするダイレクト リクエストジョブ リクエストの詳細をご参照ください。

ルート検索ユーティリティ

ルート検索ユーティリティ サービスには、ルート検索サービスを操作するための補助情報を提供する [GetTravelModes] および [GetToolInfo] ツールが含まれています。

[GetTravelModes] ツールは、ルート検索サービスで使用でき組織サイトで構成された移動モードのリストを返します。 移動モードは、運転や歩行などの移動手段を提示します。 移動モードは基本的に、移動設定に関する長いリストで構成されたテンプレートです。 このツールは、ユーザー操作で使用できる移動モードの名前や必要に応じて説明を表示し、さまざまなアプリケーションで使用されることを想定しています。 組織サイトの管理者は移動モードを構成することで、デフォルトの移動モードのプロパティを変更したり、組織のワークフローをより適切に反映する新しい移動モードを追加したり、組織のワークフローに適していない移動モードを削除することができます。 詳細については、ArcGIS REST API ドキュメントをご参照ください。

[GetToolInfo] ツールは、解析に使用されるネットワーク データセットの説明や、ジオプロセシング サービスで使用できるツールに関する処理制限などの情報を提供します。 詳細については、ArcGIS REST API ドキュメントをご参照ください。

交通量

交通量マップ サービスを使用すると、リアル タイムの走行速度や、事故、建設現場、道路閉塞などのインシデントを視覚化できます。 交通量の視覚化は、特定の道路セグメントでの移動速度が時間とともに変化する様子についての情報を示します。 マップ サービス内の交通インシデントは、インシデントの位置と、深刻度、予想開始および終了時間、インシデントの説明などの属性を提供します。 走行速度とインシデント データは、5 分ごとに更新されます。

交通量マップ サービスは、ルート検索サービスの結果を表示する優れた背景レイヤーの役割を果たします。 交通量マップ サービスが使用する交通量データは、ルート検索サービスも解析実行時に使用します。 ルート サービスから特定のルートが返された理由を強調したい場合、ルートとともに交通量マップを表示して、ルートで使用されている道路を選択するときに影響した交通渋滞のエリアを示すことができます。

サービスが使用する交通量データは、5 分ごとに更新されます。 各交通量の更新には、次の 4 時間の交通速度予測も含まれています。 これにより、今後の計画を立てるために、交通量を視覚化できます。 このサービスは、最大 4 時間の交通量情報を履歴管理します。 これにより、8 時間の時間帯での交通速度を視覚化できます。 交通インシデントは履歴管理されず、毎回、最新情報で更新されます。 詳細については、ArcGIS REST API ドキュメントをご参照ください。

注意:

交通量マップ サービスは、ArcGIS Enterprise ポータルのルート検索サービスが ArcGIS Online から構成されている場合にのみ使用されます。

交通量データ

交通量データ ユーティリティ サービスでは、解析を実行する際に、ArcGIS Enterprise ルート検索サービスでライブで走行速度の予測を使用できます。 ライブ交通量を使用するルート検索サービスを公開するには、次の手順に従ってください。

注意:
交通量データ ユーティリティ サービスに視覚的要素はないので、マップ上には表示されません。 マップで交通量を視覚化するには、ArcGIS Online で使用できる交通量マップ サービスを使用します。