ArcGIS Enterprise on Kubernetes をデプロイしたら、ソフトウェアをアップデートまたはアップグレードして、最新の ArcGIS Enterprise の拡張機能と新機能を入手し、セキュリティ、信頼性、パフォーマンスを確保できます。
次にアップデートとアップグレードの違いについて説明します。
- アップデートは、パフォーマンス、セキュリティー、または機能の問題やバグに対処します。 アップデートでは、新しい機能の導入や外観と操作性の変更はありません。 たとえば、アップデートでは、ソフトウェアのバージョンが 11.4.0.6300 から 11.4.0.6305 へ移行されます。
- アップグレードは、ソフトウェアの新しいバージョンです。新しい機能、強化された機能、また場合によっては異なる外観と操作性を備えています。 たとえば、アップグレードでは、ソフトウェアのバージョンが 11.4.0 から 11.5.0 へ移行されます。
必要な更新
必要な更新とは、機能要件を含む更新であり、新しいソフトウェア リリースへのアップグレード前に適用する必要があります。 新しいソフトウェア リリースへのアップグレードを続行するときに、必要な更新が利用可能な場合は、この更新を先に適用するよう求められます。
アップデートの適用または復元
管理者は、ArcGIS Enterprise Manager の [ソフトウェアの更新] ページまたは ArcGIS Enterprise Administrator API を使用してアップデートとアップグレードを適用できます。 管理者は、適用されたアップデートを元に戻すこともできます。 詳細については、「アップデートの適用」をご参照ください。
読み取り専用モード
アップデートまたはアップグレードが進行中のとき、ArcGIS Enterprise は自動的に読み取り専用モードに設定されます。 このモードでは、組織のメンバーは、コンテンツ、ユーザーとグループ、および設定を表示できますが、変更はできません。 その間、組織への通知が ArcGIS Enterprise Manager の上部バナーに表示されます。
アップグレードまたはアップデートが完了すると、読み取り専用モードがオフになり、組織の通常の運用を再開できます。
アップデートおよびアップグレードのプロセス
アップデートおよびアップグレードのプロセスはソフトウェアに統合されています。 追加のソフトウェアをインストールしなくても拡張機能と新しい機能にアクセスできます。 管理者は、ArcGIS Enterprise Manager または ArcGIS Enterprise Administrator API を使用して、アップデートまたはアップグレードが利用可能になるタイミングを決定できます。
アップデートが利用可能になると、新しいコンテナー イメージまたはイメージのセットとして表され、コンテナー レジストリのホスト (たとえば docker.io) にプッシュされます。 ArcGIS Enterprise Administrator API は、Esri の公開バージョンのマニフェスト ドキュメントを特定する既知の URL を使用して、アップデートが利用可能かどうかを判断します。 マニフェストを特定することによりアップグレード戦略が作成され、アップデートまたはアップグレードするオプションが利用可能になります。
通常、アップデートおよびアップグレードは下記の 2 つのパターンに従います。
青緑
該当する場合、Kubernetes のデプロイメントは新しいコンテナー イメージを使用して開始され、基礎となるデータをアップグレードおよび移行します。 次に、セカンダリ データ ストア インスタンスまたは他のレプリカがデータ ストアに追加されます。 新しいデータ ストアが正常であると判断されると、古いデータ ストアが停止され、新しいデータ ストアの正常なインスタンスだけが残ります。 この戦略の使用例には、ホスト データ ストアのアップデートがあります。
ローリング
新しいコンテナー イメージによって有効化される新しいポッドがデプロイされると、古いポッドがローリング方式で停止されます。 このプロセスによってダウンタイムが最小化されます。 この戦略の使用例には、GIS サービスのアップデートがあります。
アップデートのシナリオ
ArcGIS Enterprise on Kubernetes のバージョンのライフサイクル全体を通して複数のアップデートがリリースされることがあります。 利用可能なそれぞれのアップデートについては、リリース ノートをご参照ください。 次のシナリオでは、組織がアップデートを適用してから元に戻す方法をいくつか紹介します。
- 組織は ArcGIS Enterprise Manager を使用して、リリース時に各アップデートを適用する場合があります。 組織は各アップデートを明示的に適用しているため、必要に応じて、復元先のいずれかのアップデートまたは基本バージョンを選択できます。 また、リリースされた時点でアップデートを適用すると、パフォーマンス、セキュリティー、および機能の問題に対する最新の修正方法に最も速くアクセスすることもできます。
- 組織は ArcGIS Enterprise Manager を使用して、以前のすべてのアップデートを含む最新のアップデートのみを適用する場合があります。 アップデートを元に戻す必要がある場合、組織は、以前に明示的に適用したいずれかのアップデートまたは基本バージョンを選択できます。 ArcGIS Enterprise Manager により、累積的に適用されたすべてのアップデートが復元されます。