オフラインでのマップの利用

ArcGIS はオフラインでの Web マップの利用をサポートしています。 Web マップをオフラインで利用することで、接続が断続的であったり利用できない場合に、接続されていない環境で GIS データを確実に操作することができます。

次のアプリはオフラインでの Web マップの利用をサポートしています。

各アプリでサポートされる構成については、上記のリンクからご参照ください。

使用パターン

Web マップをオフラインで利用するには、オフライン マップ エリアが必要です。 オフライン マップ エリアは次の 2 つの方法で作成します。

  • 事前 - このパターンは事前計画済みのオフライン マップ エリアとも呼ばれます。

    マップ作成者は、ユーザー向けにオフライン マップ エリアを事前に定義できます。 これは作業者が明確に定義された地理エリアで作業する場合に効果的です。 できる限り、オフライン マップ エリアを事前に準備することをお勧めします。 オフライン マップ エリアを事前に定義することで、オンデマンドのワークフローに比べて次のような利点があります。

    • オフライン マップ エリアのデータが、このデータを必要とするすべてのユーザー向けに 1 回だけパッケージ化されて ArcGIS Enterprise でホストされます。 1 つのオフライン マップ エリアを多数のユーザーがダウンロードすることができ、ダウンロードするデータはすでにパッケージ化されているため、多数のオフライン モバイル作業者をサポートする大規模な展開でパフォーマンスが向上します。
    • エリアはマップ作成者によって定義されるため、マップ エリアが事前に定義されたレイヤーを含むオフライン マップをダウンロードした場合、詳細情報が不十分であったり地理エリアが間違っているといった、現場でのエラーが最小限に抑えられます。 これらの決定をオフライン スタッフ メンバーの管理下から取り除くことによって、オフライン スタッフ メンバーのワークフローが簡素化され、速やかに着手して必要な作業に専念できるようになります。

  • オンデマンド - モバイル スタッフがどこに行くか事前に正確に予測または把握するのが困難なときがあります。 これには、スケジュールの変更、天候に応じた調整、作業の優先度の突然の変更など、さまざまな理由が考えられます。 現場で臨機応変に柔軟に対処することができれば、現場チームの生産性が維持されます。

    オンデマンド ワークフローはこのような場合に役立ちます。 オンデマンド オフライン エリアでは、ユーザーがオフラインで使用する独自のエリアを定義できます。

    オフライン マップ エリアをオンデマンドで作成すると柔軟性が向上しますが、モバイル ユーザーは正しい詳細レベルで正しい情報をオフラインで利用することについてより多くの責任を負います。 各ユーザーがダウンロードすることでユーザー独自のオフライン エリアのデータが個別にエクスポートされるため、組織のリソースへの負荷も高くなることがあります。 オフライン作業員が多数いる場合にはこのパターンは推奨されません。

レイヤーとマップのオフライン使用の有効化

Web マップをオフラインで利用するには、ベースマップや参照レイヤーを含め、すべてのレイヤーでオフラインでの使用が有効化されている必要があります。 次のタイプのマップ レイヤーでオフラインでの使用を有効化できます。

  • ホスト フィーチャ レイヤー
  • ArcGIS Server フィーチャ レイヤー

注意:

ポータルに含まれているデフォルトの Esri ベースマップは、オフラインでは使用できません。 ArcGIS OnlineEsri ベースマップを Web マップに追加することで、同様のベースマップをオフライン取得することができます。

フィーチャ レイヤー

ホスト フィーチャ レイヤーと ArcGIS Server フィーチャ レイヤーの両方をオフラインで使用するには、レイヤーの同期を有効にする必要があります。

ホスト フィーチャ レイヤーを公開するときに同期を有効にするか、ポータルでホスト フィーチャ レイヤーのアイテム ページの [設定] タブにある [同期の有効化] チェックボックスをオンにします。

ArcGIS Pro から ArcGIS Server フィーチャ レイヤーを公開するときに同期を有効にするか、公開後に ArcGIS Server Manager でサービスの同期を有効にすることもできます。

Web マップ

レイヤーのオフラインでの使用を有効にすると、[オフライン モードの有効化] 切り替えボタンがオンになった状態で、[オフライン] セクションがマップのアイテム ページ[設定] タブに表示されます。 マップをオフラインで利用しない場合は、[オフライン モードを有効化] 切り替えボタンをオフにして、[保存] をクリックします。

Esri ベースマップのオフライン利用

ArcGIS OnlineEsri ベースマップと、ArcGIS Enterprise Web マップをオフライン取得できます。 このためには、ArcGIS Online に組織のメンバーとしてのアカウントが存在する必要があります。

注意:

ArcGIS Enterprise Web マップで、Esri ベクター ベースマップをオフラインで使用する場合、ベースマップは、デフォルトの道路地図 (World Street Map) スタイルのみで表示できます。

オフラインで使用できる Esri ベースマップを追加するには、次の手順を実行します。

  1. ArcGIS Onlineタイル ベースマップまたはベクター ベースマップ グループで、使用するベースマップを検索し、そのアイテム ページを開きます。
  2. アイテム ページの [URL] セクションで、レイヤーの URL を含むテキスト ボックスの横の [コピー] をクリックします。
  3. ArcGIS Enterprise ポータルにサイン インします。
  4. コンテンツ ページの [マイ コンテンツ] タブから、[新しいアイテム] をクリックします。
  5. [URL] をクリックし、手順 2 でコピーしたベースマップのリンクをテキスト ボックスに貼り付け、Tab キーを押してテキスト ボックスから出ます。

    サービス情報は、ArcGIS Online から取得されます。

  6. [サービスのアイテムと一緒に認証情報を保存します] オプションをオンにし、[次へ] をクリックします。
  7. ArcGIS Online の組織のメンバーであるアカウントのユーザー名とパスワードを入力します。
  8. タイトルを入力します。
  9. アイテムの保存先となる [マイ コンテンツ] 内のフォルダーを選択します。
  10. ポータル管理者がコンテンツのカテゴリを構成している場合、[カテゴリの割り当て] をクリックして、最大 20 のカテゴリを選択して、アイテムの検索に役立てることができます。

    また、カテゴリ名の入力を開始して、カテゴリのリストを絞り込むこともできます。

  11. 必要に応じて、アイテムを説明するタグを入力します。

    語句をカンマで区切ります (たとえば、「Federal land」は 1 つのタグと見なされますが、「Federal, land」は 2 つのタグと見なされます)。

    入力する際、以前に追加したタグから生成された推奨タグが表示されますので、そこから選択することができます。

  12. ベースマップについて説明するサマリーを入力します。
  13. [保存] をクリックします。

    新しいアイテムのアイテム ページが表示されます。

  14. 複数のマップでベースマップを使用できるようにするには、新しいレイヤーをベースマップとして使用するマップを作成し、組織のベースマップ ギャラリーで共有します。
    注意:

    組織サイトのベースマップ ギャラリーと共有されているマップは、オフライン専用で使用し、一般的なマップ表示には使用しないでください。

  15. Map Viewer または Map Viewer Classic を使用して、オフライン取得するマップを開き、次のいずれかの方法でベースマップを使用するように更新します。
    • ベースマップ ギャラリーにベースマップを追加していた場合、[ベースマップ] をクリックして、ベースマップ ギャラリーで新しく作成したベースマップをクリックします。
    • Map Viewer Classic でそのマップでのみ使用するためにレイヤーをベースマップとして追加するには、「ベースマップの選択 (Map Viewer Classic)」の「独自のベースマップの使用」をご参照ください。
    • Map Viewer でそのマップでのみ使用するためにレイヤーをベースマップとして追加するには、「ベースマップの選択 (Map Viewer)」の「ギャラリーにないベースマップの使用」をご参照ください。
  16. 変更をマップに保存します。

オフラインのマップとレイヤーを操作するときのヒント

オフラインのマップとレイヤーを操作する際は次の点に留意してください。

  • マップとベースマップに同じ空間参照を使用する必要があります。
  • 同じホスト フィーチャ レイヤーまたは ArcGIS Server フィーチャ レイヤーを複数回含むマップでは、オフラインでの使用をサポートしていません。 たとえば、同じレイヤーを 2 回追加し、それぞれにフィルターや異なるスタイルを適用することができます。 オフライン取得した Web マップで同じデータを参照するには、次の手順を実行します。
    • ホスト フィーチャ レイヤーの場合は、ホスト フィーチャ レイヤー ビューを作成します。 この操作により、マップに追加できる個別のレイヤーが作成されます。 ビュー定義を設定し、必要に応じて異なるスタイルを適用します。
    • ArcGIS Server フィーチャ レイヤーの場合は、一意の名前を持つ個別のフィーチャ サービスを公開します。 その後、フィーチャ レイヤーを同じ Web マップに追加して、フィルターおよびスタイルを適用できます。
  • 他のユーザーによって作成されたフィーチャの表示を制限する、所有権ベースのアクセス制御が有効になっているフィーチャ レイヤーでは、オフライン マップ エリアの事前作成はサポートされていません。

    ホスト フィーチャ レイヤーの場合、ホスト フィーチャ レイヤー アイテムの [編集者は、各自が所有するフィーチャのみを編集できる (編集情報の記録が必要)] オプションを有効にした場合、[編集者は、すべてのフィーチャを閲覧できる] オプションが選択されていることを確認します。

    ArcGIS Server フィーチャ レイヤーの場合、エンタープライズ ジオデータベース内のソース データの編集情報の記録が有効になっている必要があり、(サービス所有者だけでなく) 他のユーザーがサービスをクエリできる必要があります。

事前に準備するオフライン マップ エリアの作成と管理

Web マップのオフライン使用を有効化したら、オフライン マップ エリアを作成して、オフライン作業者のオフラインでの作業を簡素化することをお勧めします。 オフライン マップ エリアを利用すると、Web マップの特定エリアのデータをパッケージ化することで、オフラインで使用するマップを迅速かつ簡単にダウンロードできます。 事前に準備したオフライン マップ エリアは、ArcGIS Field MapsArcGIS Survey123、および ArcGIS Runtime SDK カスタム アプリで使用できます。

オフライン マップ エリアを作成すると、指定されたエリア内のデータが 1 つまたは複数のダウンロード可能なパッケージにバンドルされます。 フィーチャ レイヤーはモバイル ジオデータベース ファイル (.geodatabase) にまとめられます。

Web マップのオフライン マップ エリアを作成編集、および管理するには、マップの所有者である必要があり、コンテンツを作成する権限が必要です。

注意:

オフライン マップ エリアを含む Web マップは、メンバーがすべてのアイテムを更新できるグループとは共有できません。また、組織の管理者は、オフライン マップ エリアを含む Web マップの所有権を変更できません。

オフライン マップ エリアの作成

Web マップのオフライン マップ エリアは最大 16 個作成できます。 作成するオフライン マップ エリアの数は、組織とモバイル作業者のニーズによって異なります。

オフライン マップ エリアを作成するには、次の手順を実行します。

  1. マップ内のすべてのレイヤーがオフラインでの使用を有効化されていることを確認します。
  2. Web マップのアイテム ページで、[設定] タブをクリックし、タブの上部にある [オフライン] をクリックします。

    Web マップ アイテムの [設定] タブに [オフライン] セクションがない場合、そのマップにはオフラインで利用できないレイヤーが 1 つ以上含まれています。

  3. [オフライン] セクションで、[オフライン モードの有効化] 切り替えボタンがオンであることを確認します。
  4. [オフライン マップ エリア] セクションの [オフライン エリアの管理] をクリックします。

    [オフライン エリアの管理] ウィンドウが表示されます。

  5. [オフライン エリアの作成] をクリックします。
  6. 次のいずれかを実行して、オフライン エリアを作成するマップの部分に移動します。
    • マップ プレビューを拡大および縮小するには、ズーム ボタンを使用します。
    • マップにブックマークがある場合は、[ブックマークの表示] ボタンをクリックしてからブックマークをクリックすると、マップのブックマークしたエリアに移動します。
    • 特定の場所または住所に移動するには、検索ボックスにキーワードを入力します。 キーワードとして、住所、道路の交差点、場所、対象地点、緯度と経度の座標、フィーチャ ID などを入力できます。
  7. オフライン エリアを表す形状を描画するには、[スケッチ] ツールバーにあるボタンのいずれかをクリックします。
    • オフラインで使用するエリアを囲むボックスを描画するには、[四角形のマップ エリアをスケッチ] ボタン 四角形の描画 をクリックして、マップ上にボックスを描画します。
    • オフラインで使用する必要のあるエリアを定義するポリゴンを描画するには、[ポリゴンのマップ エリアをスケッチ] ボタン ポリゴンの描画 をクリックして、マップ上にポリゴンを描画します。
  8. オフライン エリアの形状を移動させるには、そのマップ エリアを選択して、マップ上の新しい位置までドラッグします。
  9. 四角形のエリアの形状を変更するには、その四角形をクリックして選択し、ポインターが変化するまで頂点にポインターを合わせ、その頂点を目的の位置までドラッグします。 四角形のマップ エリアが目的の形状になるまで、この操作をすべての頂点に対して繰り返します。
  10. ポリゴン エリアの形状を変更するには、次の手順に従ってください。
    1. 該当するポリゴンをクリックして選択し、[スケッチ] ツールバーにある [マップ エリアの形状変更] ボタンをクリックします。

      そのポリゴンの頂点が表示されます。

    2. 頂点をクリックして選択します。
    3. 選択した頂点を移動させるには、新しい位置までドラッグします。
    4. 選択した頂点を削除するには、キーボード上の Backspace ボタンを押します。
    5. そのマップ エリアが目的の形状になるまで、サブステップ b ~ d をすべての頂点に対して繰り返します。
  11. [名前] ボックスに、オフライン マップ エリアを説明する名前を入力します。
  12. [パッケージ スケジュール] セクションを開き、フィーチャ レイヤー データの変更を取得するためにオフライン マップ エリア パッケージを更新する間隔と時間を設定します。

    自動更新スケジュールを設定しない場合は、ドロップダウン メニューから [なし] を選択します。

  13. 読み取り専用で使用するためにオフライン マップ エリア パッケージを作成するには、[最適化] セクションを開き、[スケジュールされた更新の有効化] 切り替えボタンをオンにします。

    読み取り専用のパッケージは、前のステップで設定したスケジュールに基づいて作成されます。

  14. [保存] をクリックします。

    新しいオフライン マップ エリアが [オフライン マップ エリア] リストに表示され、そのエリアがパッケージ化されることを示すバッジも表示されます。 パッケージ化されるデータのサイズによっては、数秒または数分かかることがあります。

  15. このマップにオフライン エリアをさらにいくつか作成するには、[オフライン エリアの作成] をクリックして、手順 5 以降を繰り返します。

    Web マップのオフライン マップ エリアは最大 16 個作成できます。

オフライン マップ エリアの編集

オフライン マップ エリアを作成したら、その名前、形状、詳細レベル、またはフィーチャ レイヤー パッケージを更新するスケジュール (設定した場合) を変更できます。

オフライン マップ エリアを編集するには、次の手順を実行します。

  1. Web マップのアイテム ページで、[設定] タブをクリックし、タブの上部にある [オフライン] をクリックします。
  2. [オフライン] セクションで、[オフライン モードの有効化] 切り替えボタンがオンであることを確認します。
  3. [オフライン マップ エリア] セクションの [オフライン エリアの管理] をクリックします。

    [オフライン エリアの管理] ウィンドウが表示されます。

  4. 必要に応じて、編集するマップ エリアを見つけやすくするために、[オフライン エリアのフィルタリング] フィールドにオフライン マップ エリア名の一部を入力します。
  5. オフライン マップ エリアの名前をクリックし、必要に応じて、オフライン マップ エリアの設定を編集したり、形状を変更したりします。
  6. 編集が終了したら、[保存] をクリックします。

オフライン マップ エリアの管理

オフライン マップ エリアを編集することに加え、個々のパッケージを更新したり、オフライン マップ エリア パッケージをいつでも再作成または削除したりすることができます。 マップ エリアを更新することもできます。これにより、関連付けられたパッケージも自動的に更新されます。 オフライン マップ エリアを効果的に管理するには、これらの各オプションについて理解しておくことが重要です。

既存のオフライン マップ エリアをリストから選択するか、個々のオフライン マップ エリアをクリックしてその詳細を表示すると、次のアクションが表示されます。

更新

これは最もよく使用されるアクションです。 更新を実行すると、既存のマップ エリア パッケージが、Web マップで設定されている現在のレイヤーおよびオフラインの高度な設定と比較されます。 レイヤーが追加または削除された場合、[更新] をクリックすると、必要に応じてパッケージが削除されるか新しいパッケージが追加されます。 オフラインの高度な設定が変更された場合、[更新] アクションを実行すると、変更されたデータの再パッケージ化も行われ、その後でダウンロードしたユーザーのオフライン マップ エリアにその変更が反映されます。

削除

オフライン マップ エリアを削除すると、オフライン マップ エリア アイテムおよび関連付けられているすべてのパッケージが削除され、そのオフライン マップ エリアをダウンロードできなくなります。 このオフライン マップ エリアをすでにダウンロードしているアプリは引き続き同期できますが、[パッケージ化の更新] オプションをオンにしてオフライン エリアが構成されている場合、そのオフライン エリアは更新内容を受け取らなくなります。

再作成

オフライン マップ エリアを再作成することと、オフライン マップ エリアを更新することは異なります。 [再作成] アクションを使用すると、マップ エリアに関連付けられているすべてのパッケージが削除され、オフライン マップ エリアの設定に基づいてパッケージが再作成されます。

マップ エリアを再作成する主な理由は、オフライン マップ エリアを作成した後で発生したスキーマ変更を反映するためです。 たとえば、フィールドを追加または削除したり、属性値のリストまたは範囲 (ドメイン) を変更したりした場合、これらの変更を反映するためにオフライン マップ エリアを再作成する必要があります。

マップ エリア内の特定のパッケージの更新

オフライン マップ内のフィーチャ レイヤーのデータが大幅に変更され、次にスケジュールされているオフライン パッケージ更新より前に新規のダウンロードで更新内容が反映されるようにする必要がある場合、オフライン マップ エリアの詳細ページにあるパッケージのリストからパッケージを選択して [更新] をクリックします。 これによって、次にスケジュールされているパッケージ更新時間より前にデータを手動で更新できます。

データ配信の最適化

オフライン エリアのダウンロードや変更の同期を行う際のデータ配信を最適化するいくつかのオプションがサポートされています。 これらのオプションを調整することで、マップ所有者は、同期して更新の有無をチェックしている場合にモバイル作業者に送信されるデータの更新内容や、オフライン マップ エリアがデータの更新内容を受け取る頻度を制御することができます。

組織からクライアントに送信されるデータ更新の頻度と量を減らすことによって、ネットワーク接続が制限されている場所では特に、同期にかかる時間を短縮することができます。

配信データの最適化

デフォルトでは、同期が発生すると、クライアント アプリから組織、組織からクライアント アプリに編集内容が送信されます (双方向)。 これらの編集内容には、操作しているフィーチャに関連付けられているすべての添付ファイルが含まれています。 これは必ずしも望ましいことではなく、多数の作業員が同じ地理エリアで同じレイヤーを使用して作業している場合は特に、マップを同期しているときに各ユーザーがダウンロードするデータの量が増える可能性があります。

初回ダウンロード時と同期中にクライアントに配信されるデータを制御できます。 Web マップの場合、モバイル作業者に配信されるデータを決定できます。 Web マップでデータ配信の最適化が設定されている場合、事前に準備されたオフライン マップ エリアとオンデマンドのオフライン マップ エリアに最適化が適用されます。

フィーチャ レイヤーの所有者と管理者は、既存のフィーチャ/添付ファイルを表示または操作する必要があるかどうかと、同期の際に引き続きフィーチャ/添付ファイルの更新を受け取るかどうかを選択できます。 モバイル作業者が必要とするデータのみを配信するようにこれらの設定を調整することで、オフライン マップ エリアの同期にかかる時間を短縮し、ダウンロードするデータや同期するデータの量を減らすことができます。

注意:

以降の手順の設定は、ArcGIS Field Maps ですぐに使用できます。 ArcGIS Runtime SDK で独自のアプリを構築している開発者は、サポートされていない JSON を使用すると、これらの高度な設定を有効に活用することができます。 たとえば、ArcGIS Runtime SDK for .NET でアプリを構築している場合は、UnsupportedJson プロパティを使用できます。

マップをオフラインで利用している場合に配信されるデータを最適化するには、次の手順に従います。

  1. Web マップのアイテム ページで、[設定] タブをクリックし、タブの上部にある [オフライン] をクリックします。
  2. [オフライン] セクションで、[オフライン モードの有効化] 切り替えボタンがオンであることを確認します。
  3. [高度な設定] をクリックします。

    [オフライン: 高度な設定] ウィンドウが表示されます。

  4. [フィーチャと添付ファイルの送信を制御します] セクションで、オフライン マップが初めてダウンロードされるとき、および組織のマップからクライアント上のマップにデータの更新内容が同期されるたびに、添付ファイルとフィーチャをクライアントに配信する方法を指定します。

    デフォルトでは、編集可能なレイヤーと読み取り専用レイヤーの両方で [デバイスはフィーチャと添付ファイルの更新をダウンロードして取得します] オプションが選択されています。 つまり、マップをダウンロードするときと、マップ内のすべてのレイヤーでフィーチャと添付ファイルの両方に対する更新内容を受け取るときに、クライアントはすべてのフィーチャと添付ファイルをダウンロードします。 編集可能なレイヤーと読み取り専用レイヤーの両方でこれらの設定を変更できます。 この他に次のようなオプションがあります。

    • [デバイスは更新フィーチャのみをダウンロードして取得します] - マップをダウンロードするとき、および更新内容を組織からクライアントに同期するときに、添付ファイルを除外します。
    • [デバイスは更新フィーチャをダウンロードして取得しません] - このオプションは編集可能なレイヤーでのみ使用できます。 このオプションを選択した場合、編集可能なレイヤーはダウンロードされず、組織からクライアントに同期されません。

    デバイスのストレージ、携帯電話のデータ使用量、ダウンロードおよび同期の速度、特に通信状況が悪い地域でのダウンロードおよび同期の速度に関連する懸念事項や制限事項に応じて、適切なオプションを選択します。 たとえば、オフライン ユーザーが添付ファイルを表示する必要がない場合は、フィーチャの更新のみの送信を選択できます。また、編集可能なレイヤーの添付ファイルとフィーチャを送信するが、読み取り専用レイヤーでは送信しないようにすることもできます。

  5. [タイル パッケージをオフライン ベースマップに使用します] セクションで、次のいずれかを選択して、オフラインで作業している場合にマップ内でベースマップとして使用するものを指定します。
    • [デバイスは、Web マップで定義されたベースマップを使用します] - このオプションを選択すると、マップ内の現在のベースマップがオフラインで使用されます。
    • [デバイスは、それ自体がすでに所有しているタイル パッケージを使用します] - このオプションを選択すると、オフライン マップは、すでにデバイス上にあるタイル パッケージを使用します。 タイル パッケージをベースマップとして使用すると、より大規模で詳細なベースマップをダウンロードし、必要に応じてオフラインで使用できるようになります。 このオプションを選択する前に、タイル パッケージがオフラインで作業する予定のエリアをカバーしていることを確認します。
  6. [保存] をクリックします。

更新の配信方法の最適化

オフライン マップ エリアをダウンロードおよび同期する際に配信されるデータを制御するだけでなく、事前に準備されたオフライン マップ エリアのパッケージ スケジュールを設定することで、更新内容が配信されるタイミングや頻度を制御することもできます。

[スケジュールされた更新の有効化] オプションは、パッケージ スケジュールを設定する際に使用できます。 このオプションを使用することで、オフライン マップ エリアを利用しているアプリが組織から更新内容を受け取る方法を最適化できます。 このオプションは次のようなシナリオで役立ちます。

  • オフライン マップでレイヤーを編集する必要がない。
  • カスタム ArcGIS Runtime SDK アプリでオフラインで作業しているときに、フィーチャの追加だけを行う。
  • モバイル作業員が最新の情報を必要としない。
  • 明確に定義されたスケジュールに従ってソース データが更新される。 たとえば、評価担当者のオフィスから更新内容を受け取ると毎週金曜日の午前にすべてのパーセル データが更新される。

[スケジュールされた更新の有効化] 最適化オプションを使用すると、オフライン マップを初めてダウンロードするユーザーのために、保存されているオフライン マップ エリアが更新されるとともに、パッケージ スケジュールが最後に実行された後で行われた変更のみが含まれている別個の更新パッケージも作成されます。 更新パッケージは、そのマップをすでにオフラインで利用していて以降の変更のみを必要とするモバイル作業者によって使用されます。

最後にスケジュールされたパッケージ更新以降に行われた変更のみが含まれているパッケージを使用することでパフォーマンスが向上します。

マップ エリアで [スケジュールされた更新の有効化] 最適化オプションを有効にし、この設定を利用するアプリでそのマップ エリアを使用している場合、オフライン マップでこのマップ エリアを編集することはできず (フィーチャの追加をサポートしている ArcGIS Runtime アプリの場合は除く)、組織と同期して更新内容を受け取ることはできません。

事前に作成するオフライン エリアに適したオプションの選択

事前に作成するオフライン エリアに適した設定を選択するには、更新内容がどのように配信されるかを理解しておくことが不可欠です。

多くのシナリオでは、スケーラビリティよりもデータの鮮度を優先するとよいでしょう。 以下の例では、オフラインで利用されているマップ エリアのデータが編集可能な場合と、オフラインで利用されているマップ エリアのデータが編集不可の場合の、2 つのシナリオで想定される動作について概要を説明します。

  • オフライン マップ エリアのデータが編集可能

    マップに編集可能なレイヤーが少なくとも 1 つは含まれており、そのマップをオフラインで利用しているユーザーに編集権限がある場合、次の処理が行われます。

    • 次のユーザーがダウンロードするデータの陳腐化を低減するため、事前に準備されているオフライン マップ エリアがパッケージ スケジュールに基づいて更新されます。
    • マップの初回ダウンロードの後は、オフライン マップ エリアのデータが最新の状態になるように、アプリで同期が行われます。 これにより、オフラインで使用しているデータが、組織に保存されているデータに追いつきます。
    • モバイル作業者は、ネットワーク接続がある場合には必ず、オフライン エリアを同期して更新内容を送受信できるため、常に最新のデータを利用することができます。
    • このシナリオでは、オフライン マップ エリアで [スケジュールされた更新の有効化] オプションを有効にしている場合でも、この設定が無視されて代わりに同期が行われます。

  • オフライン マップ エリアのデータが編集不可

    マップに編集可能なレイヤーが含まれていないか、マップをオフラインで利用しているユーザーに編集権限がない場合、次の処理が行われます。

    • 次のユーザーが初めてダウンロードするマップ エリアのデータの陳腐化を低減するため、事前に準備されているオフライン マップ エリアがパッケージ スケジュールに基づいて更新されます。
    • そのオフライン マップ エリアを初めてダウンロードした新しいユーザーは最新データを受け取ります。 ただし、最新データの内容は、オフライン マップ エリアで [スケジュールされた更新の有効化] オプションを有効にしているかどうかによって異なります。
      • [スケジュールされた更新の有効化] オプションが有効になっている場合、そのマップ エリアを初めてダウンロードしたユーザーは、パッケージ スケジュールが最後に実行された後の最新のパッケージ データを受け取ります。
      • [スケジュールされた更新の有効化] オプションが有効になっていない場合、そのマップ エリアを初めてダウンロードしたユーザーは、マップをダウンロードしたときに使用可能なマップのすべてのレイヤーの最新データを受け取ります。
    • モバイル作業者は、組織への接続があるときにはいつでも、モバイル アプリから更新の有無をチェックして、利用可能な更新内容を受け取ることができます。 ただし、受け取る内容は [スケジュールされた更新の有効化] の設定によって異なります。
      • [スケジュールされた更新の有効化] オプションが有効になっている場合、モバイル作業員は、パッケージ スケジュールが最後に実行された後の最新のパッケージ データを受け取ります。
      • [スケジュールされた更新の有効化] オプションが有効になっていない場合、モバイル作業者は、現在利用可能なマップのすべてのレイヤーの最新データを受け取ります。

    注意:

    最後にスケジュールされた更新以降に行われた更新のみが含まれているパッケージを使用することでスケーラビリティとパフォーマンスが向上しますが、モバイル作業者はマップのレイヤーに利用可能な最新データを受け取れない場合があります。 このため、[スケジュールされた更新の有効化] オプションを有効にした場合、データの陳腐化を最小限に抑えるため、レイヤーの大規模な更新はできるだけパッケージ スケジュールに合わせて実施することをお勧めします。