外れ値の検索ツールは、Anselin Local Moran's I 統計で、統計的に有意なホット スポット、コールド スポット、および空間的な外れ値を特定します。
例
ある警察管区で、管区内で特に窃盗件数が多い地域を特定したいと考えています。 管区で外れ値のツールを使用し、ホット スポットとなっている道路や値の高い外れ値を特定します。 警察官はその結果をもとに防止策を練り、限られたリソースを割り振り、自警団プログラムを開始します。
使用上の注意
外れ値の検索ツールには、入力フィーチャ、外れ値の設定、結果レイヤーの構成が含まれています。
入力フィーチャ
[入力フィーチャ] グループには、クラスターおよび外れ値解析を実行するポイントまたはポリゴン レイヤーである [入力レイヤー] パラメーターが含まれます。
レイヤー名の下にフィーチャの数が表示されます。 この数には、フィルターを使用して削除されたフィーチャを除く、レイヤー内のすべてのフィーチャが含まれます。 [処理範囲] などの環境設定は、フィーチャの数に反映されません。
注意:
Web メルカトルは空間解析に適切な投影法ではありません。 入力レイヤーの空間参照系が WGS 1984 Web メルカトル (球体補正) の場合、解析で弦距離を使用するため、データは地理座標系に変換されます。
外れ値設定
[外れ値設定] グループには次のパラメーターがあります。
- [変数のタイプ] は、解析をフィーチャ数に対して行うか値に対して行うかを決定します。 次のようなオプションがあります。
- [フィールド] - 解析が [解析フィールド] で指定したフィールドの値に適用されます。
- [ポイント数] - ポイント フィーチャがポリゴンまたはセルに集約され、カウントされます。 解析は集約されたポイント数に適用されます。 このオプションは、入力レイヤーがポイント フィーチャである場合に使用できます。
- [集約形状タイプ] は、ポイント フィーチャを集約するセルの形状を指定します。 このパラメーターは、[変数タイプ] に対して [ポイント数] が指定されている場合に使用できます。 次の形状オプションを使用できます。
- [フィッシュネット セル] - ポイント フィーチャはフィッシュネット (四角形) セル内に集約されます。
- [六角形のセル] - ポイント フィーチャは六角形のセル内に集約されます。
- [ポリゴン レイヤー] - ポイント フィーチャは [集約ポリゴン レイヤー] で指定されたポリゴン フィーチャ内に集約されます。
- [集約ポリゴン レイヤー] は、ポイントを集約するポリゴン フィーチャを含むレイヤーを指定します。 このパラメーターは、[集約形状タイプ] に対して [ポリゴン レイヤー] が指定されている場合に使用できます。
- [ポイントが発生する可能性のある場所の定義] は、解析の範囲を定義するレイヤーです。 [レイヤー] ボタンを使用してレイヤーを選択するか、[入力フィーチャの描画] ボタンを使用して、入力として使用するスケッチ レイヤーを作成することができます。 レイヤーの境界から外れるポイントは解析に含まれません。 このパラメーターは、[集約形状タイプ] に対して [フィッシュネット セル] または [六角形のセル] が指定されている場合に使用できます。
- [解析フィールド] は、外れ値を決定するために解析するフィールドを指定します。 このパラメーターは、[変数タイプ] に対して [フィールド] が指定されている場合に使用できます。
- [除数] は、解析フィールドの値または集約ポイント数を分割する方法を指定します。 次のようなオプションがあります。
- [フィールド] - 解析フィールド値を分割するために使用する入力レイヤーのフィールド。
- [データへの情報付加] - [Esri 人口] が指定されている場合に、フィーチャまたは集約形状に Esri 人口データを付加し、解析フィールド値または集約ポイント数を人口で分割します。 Esri 人口データのソースは Esri Demographics Coverage です。 このオプションは GeoEnrichment サービスを使用し、追加のクレジットを消費します。
[集約形状タイプ] は、ポイント フィーチャを集約するセルの形状を指定します。 このパラメーターは、[変数タイプ] に対して [ポイント数] が指定されている場合に使用できます。
次のようなオプションがあります。- [フィッシュネット セル] - ポイント フィーチャはフィッシュネット セル内に集約されます。
- [六角形のセル] - ポイント フィーチャは六角形のセル内に集約されます。
- [ポリゴン レイヤー] - ポイント フィーチャは [集約ポリゴン レイヤー] で指定されたポリゴン フィーチャ内に集約されます。
- [最適化オプション] は、ツールのパフォーマンスを最適化するために選択する順列の数 ([速度])、疑似 p 値の精度 ([精度])、またはその両方 ([バランス]) のいずれかを指定します。 ターゲット フィーチャの近傍のフィーチャを順列して観測対象の Local Moran’s I 値を評価し、ターゲット フィーチャ周囲の観測対象の空間分布が見つかる可能性を判断します。 順列はターゲット フィーチャの近傍内にあるフィーチャをランダムに並べ替え、Local Moran’s I 値を算出します。 いくつかの順列により、ターゲット フィーチャの Local Moran’s I 値の分布が生成されます。 その後、観測対象の Local Moran’s I 値を Local Moran’s I 値の分布と比較し、疑似 p 値を算出します。 次の最適化オプションを使用できます。
- [速度] - 199 順列を実行し、ツールを実行する速度を最適化します。 許容最小疑似 p 値は 0.005 です。
- [バランス] - 499 順列を実行し、速度と精度の両方を最適化します。 許容最小疑似 p 値は 0.002 です。
- [精度] - 999 順列を実行し、疑似 p 値の精度を最適化します。 許容最小疑似 p 値は 0.001 です。
- [乱数のシード] は、乱数ジェネレーターを開始する整数値です。 乱数ジェネレーターは、各ターゲット フィーチャの近傍内にあるフィーチャを順列に並べ替え、Local Moran's l 値を算出します。
- [セル サイズ] は、各セルの一辺の長さを定義する数値です。
- [セル サイズの単位] はセル サイズの単位です。 サポートされる単位は、フィート、マイル、メートル、キロメートルです。
- [距離バンド] は、ターゲット フィーチャの近傍に含まれるターゲット フィーチャからの距離を定義する数値です。 距離バンド内にあるすべてのフィーチャは、ターゲット フィーチャの近傍に含まれます。 近傍全体を使用して、ターゲット フィーチャが高い値のクラスターに属するか、低い値のクラスターに属するか、フィーチャが外れ値であるかどうかを判断します。
- [距離バンドの単位] は、距離バンドの単位です。 サポートされる単位は、フィート、マイル、メートル、キロメートルです。
結果レイヤー
[結果レイヤー] グループには次のパラメーターがあります。
- [出力名] は、作成されマップに追加されるレイヤーの名前を決定します。 名前は、一意でなければなりません。 組織内に同じ名前のレイヤーがすでに存在する場合、ツールは失敗し、別の名前を指定するよう求められます。
- [フォルダーに保存] は、結果を保存する [マイ コンテンツ] 内のフォルダーの名前を指定します。
制限事項
このツールには次の制限が適用されます。
- [変数タイプ] が [ポイント数] として指定されている場合、次の制限が適用されます。
- 入力レイヤーには、60 以上のポイント フィーチャが含まれている必要があります。
- 最低でも、30 の集約セルまたはポリゴンに、少なくとも 1 つのポイント フィーチャが含まれている必要があります。
- 集約セルまたはポリゴン内のポイント数を同一にすることはできません。 集約セルまたはポリゴン間で、ポイント数にばらつきが必要です。
- [変数タイプ] が [解析フィールド] として指定されている場合、次の制限が適用されます。
- 最低でも 30 のフィーチャで、指定された解析フィールドに NULL 以外の値が含まれている必要があります。
- 指定された解析フィールドの値は、同じ値にすることはできません。 値にばらつきが必要です。
- 最低でも、30 のポイントは [ポイントが発生する可能性のある場所の定義] で指定された境界範囲内に収まる必要があります。
- セル サイズ値は距離バンド値を超えることはできません。
- Esri 人口データを使用できるかどうかは、入力フィーチャの位置によって異なります。
- 組織でカスタム Esri サービスを設定している場合、[除数] パラメーターで GeoEnrichment 人口データを利用することはできません。
環境
解析環境設定は、ツールの結果に影響する追加パラメーターです。 ツールの解析環境設定には、[環境設定] パラメーター グループからアクセスできます。
このツールでは次の解析環境が適用されます。
クレジット
お使いの ArcGIS Enterprise ポータルが ArcGIS GeoEnrichment Service を使用するように構成され、[除数] で [Esri Population] が選択されている場合、クレジットが消費されます。
詳細については、「空間解析のクレジットの概要」をご参照ください。
出力
ツールは、クラスター/外れ値分析の結果をもとにレイヤーを出力します。 レイヤーには、カウントのフィールド、クラスター/外れ値タイプ、Local Moran’s I 値、p 値、Z スコア、近傍数、空間ラグ、各フィーチャの Z 変換が含まれます。 クラスター/外れ値タイプ フィールドは、高い値をもつ統計的に有意なクラスター ([HH])、低い値をもつクラスター ([LL])、低い値に囲まれた高い値の外れ値 ([HL])、高い値に囲まれた低い値の外れ値 ([LH])、有意でない結果 ([NS]) を区別します。 Local Moran’s I 値は、フィーチャとその近傍が類似の値をもつか (正)、異なる値をもつか (負) を示します。 外れ値の Local Moran’s Index は負になります。
解析に関するその他の詳細については、出力レイヤーのアイテム ページで確認できます。 レイヤーのアイテム ページにアクセスするには、[設定] ツールバーの [解析] をクリックします。 [履歴] をクリックし、ツールの正常な実行を検索してクリックします。 解析の詳細が [結果] タブに表示されます。 出力レイヤーの横にあるオプション ボタンをクリックし、[詳細の表示] をクリックします。
ライセンス要件
このツールには、次のライセンスと構成が必要です。
- Creator または GIS Professional ユーザー タイプ
- 公開者もしくは管理者ロール、またはそれと同等のカスタム ロール
Esri 人口データを使用するには、次の権限とサービスが必要です。
- GeoEnrichment 権限
- ArcGIS GeoEnrichment Service またはカスタム GeoEnrichment サービス
リソース
詳細については、次のリソースをご参照ください。
- ArcGIS Pro の最適化外れ値分析
- ArcGIS Pro のクラスター/外れ値分析 (Anselin Local Moran’s I)
- ArcGIS REST API の外れ値の検索
- ArcGIS API for Python の find_outliers